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歯周病治療
歯周病とは
歯周病は細菌による慢性の炎症性疾患です。日本人が歯を失う最も多い原因です。初期段階では自覚症状がほとんどありません。歯ぐきの腫れや出血など、何かしらの症状に気づいたときには重症化しているケースがほとんどです。治療を怠ると抜歯のリスクが高まったり、 自然に歯が抜け落ちたりするともあります。少しでも違和感を覚えたら歯科クリニックで治療を受けるようにしましょう。
歯周病は全身の健康を脅かします
歯周病は、重度になると歯を失う原因となる病気ですが、最近ではお口の中だけではなく全身の病気との関連も指摘されるようになりました。 具体的な病気の種類と関連性を紹介します。
心臓病 | 歯周病は動脈硬化を引き起こすとされており、狭心症や心筋梗塞といった心臓病のリスクを高めます。 |
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糖尿病 | 歯周病の原因となる細菌が血管内に侵入すると、血糖値を下げるホルモンの働きを邪魔してしまい、糖尿病の悪化を招きます。 |
早産 | 歯周病由来の炎症物質が血中に入ることで早産を引き起こすリスクを高めるとされています。 |
認知症 | 歯周病のように小さな炎症が続くことや歯を失うことが認知症の悪化を引き起こすリスクを高めるとされています。 |
誤嚥性肺炎 | 口腔内の細菌が肺に感染してしまうことで起こります。歯周病の場合、歯周病菌が口の中で増殖しており、誤嚥性肺炎のリスクが高くなることが知られています。 |
歯周病セルフチェック
初期の歯周病は虫歯と異なり、痛み・腫れなどのわかりやすい症状はあらわれません。 30代以上のおよそ8割が、少なくとも初期の歯周病であるといわれているほど身近な病気にもかかわらず、治療が手遅れになり歯を失ってしまう方も少なくありません。次のような症状が気になったことはありませんか?
- 歯磨きなどで歯ぐきからすぐ血が出る
- 口臭がする
- 朝起きたら口がネバネバする
- 歯ぐきが赤いまたは黒っぽい
- 歯ぐきが腫れている
- 歯ぐきが減って歯と歯の間にすき間がある
- 歯が長くなった気がする
- 歯がグラグラする
このような症状がある方は早めの受診をおすすめします。
歯周病の進行度
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STEP01
歯肉炎
歯ぐきに炎症が起きて、赤く腫れている状態です。歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」が3mm以内。
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STEP02
軽度歯周炎
歯を磨いていると出血することがあります。歯周ポケットの深さは3mm以上~5mm以内です。歯周ポケットのなかに歯垢や歯石がたまりやすくなるので、除去する必要があります。
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STEP03
中等度歯周炎
歯周ポケットが 5mm以上~7mm以内の状態です。歯槽骨にまで影響が及んでいるため、歯を押すと動揺が見られます。膿が溜まることもあり、口臭も強くなるのが特徴です。
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STEP04
重度歯周炎
歯周ポケットは7mm以上です。歯根が露出してきて、食べ物をかむことがほとんどできません。歯を押すと激しく動くようになり、最悪の場合歯が抜けることも考えられます。
進行度ごとの治療方法
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軽度〜中等度の歯周病
軽度の場合は、歯石や歯垢、歯のすき間の汚れを専門の機器を使用して落とします。
歯と歯の間にすき間ができていたり、歯がぐらつくなど中等度の歯周病になると、より深い部位に歯石などが沈着しているケースが多く、 麻酔をしSRPと言われる歯石取りをすることなどで改善を目指します。 -
重度の歯周病
重度の場合はSRPやフラップ手術という深い部位の歯石取りを行ったり、歯肉や骨などを再生する治療を行います。
場合によっては抜歯を行うこともあります。
歯周基本治療
周基本治療では、まず歯石の除去を行います。さらに、歯垢や歯石が再度増えないようにブラッシング指導を行ってセルフケアの質を向上します。歯周病菌が多いと治療の成果が出ないのでお口の中から歯周病菌を減らすことが重要です。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
「SRP」はスケーリングとルートプレーニングを短縮した言葉です。スケーリングとは、歯肉から歯冠側の表出している部分の歯石を取る治療で、ルートプレーニングでは歯周ポケットの内側まで歯石の除去を行います。ハンドスケーラーや超音波スケーラーなどの専用機器を用いて歯石を除去しますし、歯の表面を滑らかにして新たな汚れがつきにくくするので、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。
予防のサポート
定期的に歯のチェックとクリーニングを行います。専門のスタッフが診ることで、患者様ごとに歯垢や汚れのつきやすい部位、ブラッシングの癖などを発見し、改善していくことができます。 当院では、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスの効果的なご使用方法もお伝えしています。
歯周外科治療
歯周病が悪化すると、日々の歯磨きや歯科医院での歯石の除去などの歯周基本治療だけでは、状態の改善が見込めなくなります。 歯周病が重症化した状態では、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がぐらついてきますし、さらに悪くなると歯を失うことになります。また、このような状態では、食事がしにくくなったり、歯の根に膿が溜まって口臭がきつくなったりもします。 そんな時に行うのが、歯周外科治療です。歯肉を切開するなどの外科的な処置を行うので不安を伴うかもしれませんが、痛みが無いように麻酔をしっかり行います。歯周外科治療は歯を守るために役立つので、ぜひ前向きにご検討ください。
フラップ手術
悪化した歯周病を改善するための手段のひとつです。歯根の深い部分まで歯垢や歯石が付着しており、ルートプレーニングでも対応できないケースで、歯石などの汚染物質の除去を目的として実施します。まず歯肉を切り開いて、歯根が見える状態にしてから清掃を行うので、歯根の徹底した清掃が可能です。
リグロス療法
リグロスは歯周病などで失われた歯周組織を再生するための薬剤で、日本で開発されています。 リグロスは、2016年に健康保険を適用できるようになっています。そのため、それ以前には自費診療でしかできなかった歯周組織再生療法が、比較的少ない費用負担で受けられるようになりました。適用できない症例もありますが、リグロスを使用して歯周外科治療を行うことで、歯周病などで失われた歯槽骨が1年間に数ミリ程度再生できます。
リグロス療法の流れ
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Step01
検査・診断
リグロス療法を適応できるか、歯周組織再生の成果が見込めるかを診断するために検査を行います。
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Step02
歯肉切開
歯周組織を再生したい部位に麻酔を行い、麻酔の効果を確認してから歯肉を切り開きます。
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Step03
歯石除去
歯肉を切開して歯根が見える状態ができたら、歯垢や歯石などの汚染物質を丁寧に除去します。
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Step04
薬剤塗布
歯周病によって減ってしまった歯槽骨に、リグロスを塗布して骨の再生を促します。
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Step05
経過確認・抜糸
治療部位を縫合したらその日の治療は終了です。1週間程度して傷口が回復していれば抜糸します。
エムドゲイン療法
エムドゲインは歯周組織再生療法に使用する薬材で、ブタの歯胚から抽出したタンパク質を利用して作られています。歯周外科治療に20年以上も使用されているので実績が非常に豊富です。そのため、使用後の長期的な報告もあり、安心して適用できます。
エムドゲイン療法の流れ
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Step01
検査・診断
エムドゲインを適用できるか、歯周組織再生の成果が見込めるかを診断するために検査を行います。
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Step02
歯肉切開
歯周組織を再生したい部位に麻酔を行い、麻酔の効果を確認してから歯肉を切り開きます。
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Step03
歯石除去
歯肉を切開して歯根が見える状態ができたら、歯垢や歯石などの汚染物質を丁寧に除去します。
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Step04
薬剤塗布
歯周病によって減ってしまった歯槽骨に、エムドゲインを塗布して骨の再生を促します。
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Step05
経過確認・抜糸
治療部位を縫合したらその日の治療は終了です。1週間程度して傷口が回復していれば抜糸します。
エムドゲイン療法の留意点
エムドゲインは健康保険を適用できない自由診療の範囲であることをご了承ください。
また、エムドゲイン療法を適用できない症例も存在します。そのため当院では、まず検査を行ってエムドゲイン療法の適用が可能かどうかを見極めています。
通院回数 | 2回 |
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治療期間 | 2週間 |
費用 | 55,000円~110,000円(税込) |
歯周病治療は早期発見・早期治療がポイントです
歯周病は重度になってしまうと、歯を保存することが難しく、抜歯が第一選択となってしまいます。早期に発見して、治療するほど、歯のぐらつきや口臭などの不快な症状も起きにくく、身体的負担も減らせます。成人であれば発症している可能性が高いので、まずは検診にお越しください。当院では、患者様それぞれに合った、検診期間をご提案しています。